= 第3回目(4月号) =

赤ちゃんがお乳がまずい!!と悲鳴を上げている

 国立病院に17年間助産師として勤務し、その後退職し、母乳育児コンサルタントを開業して25年経過しました。
その間、約1万数千人の母親に母乳育児指導を行ってきましたが、当院の来院目的の主訴で最も多いのが「母乳不足」です。
しかし、私が実際にお乳を見てみますと、母乳は足りているにもかかわらず、母乳不足感を訴えているのが現状です。
そこでなぜ、不足を感じるのかを今回は明らかにしてみようと思います。

 まず、来院の主訴をみてください。

表1:不足感の内容
内容
1.
母乳分泌不足感 31.7
2.
しこり 27.7
3.
管理 12.7
4.
断乳 9.8
5.
乳腺炎(発赤、発熱、しこり) 3.7
6.
アレルギー 3.4
7.
乳首の傷、痛み 2.9
8.
陥没乳首 2.1
9.
白斑 1.8
10.
飲まない 1.8
11.
多乳 0.8
12.
自然分娩相談 0.5
13.
離乳食 0.5
14.
指しゃぶり 0.26
15.
その他 0.34

 表1に示すように、来院の主訴の第1位は母乳不足の31.7%です。
しかし、実際に母乳の分泌量を見てみますと、その母親のうちの80%は、母乳分泌が十分に出ているのです。
そこで、なぜ母乳分泌が不足していると感じるのですか、と質問した結果が表2(不足感)に示す内容でした。

表2 母乳不足感の内容
1.
赤ちゃんが泣いて飲まない
2.
含むがすぐに外して泣く
3.
ウンウンうなってお乳を引っ張る
4.
体をくねらせて足をバタバタしてあばれる
5.
眠ったままで口を開けない
6.
お乳をかむ、引っ張る
7.
含んですぐに眠る
8.
ベッドに寝かせるとすぐに泣く

これらの赤ちゃんの反応や訴えは桶谷式では、赤ちゃんが「お乳がまずくて飲めないよ!!」と訴えている内容と同じでした。


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