ではなぜお乳の質がこんなに悪くなったのでしょうか?
50年前は99%が母乳だけで育っていたのだから、
その時代の食生活を80歳以上の出産、母乳育児をした女性に、
この20年間調査したことを表4(日本人の昔からの言い伝え)にまとめてみました。
日本人の昔からの言い伝え
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授乳時の食事の注意は昔からのいろいろな言い伝えがありましたが、病院でお産をするようになり、 また戦後アメリカやヨーロッパの食文化が入ってくる中で日本人は蛋白質が足りない、という指導がアメリカ指導型で強引になされる中で、 表4の内容は古くて迷信で非科学的だと非難され、高脂肪、高蛋白、高カロリーの食生活に急激に傾きました。 毎日、肉、卵、乳製品の摂取をすることをあらゆるところで指導され、特に妊婦検診時の指導では徹底的に叩き込まれてしまったのです。
洋食には必ずと言ってよいほど、何らかの油、砂糖を使用しますので、毎日高カロリーとなり、血液がドロドロとなり、一般人でも成人病、アレルギー、癌等が多発してきました。お乳はお母さんが食べたものが血液となり、血液がお乳になって出てくるのですから、高脂肪、高カロリー食の血液はドロドロのお乳になるのは当然です。それが細い血管と同じような乳腺につまってガチガチにお乳が腫れ上がり、その痛みでお母さん達も悲鳴を上げているのです。赤ちゃんは、嗅覚や味覚が敏感ですから、お乳に近づけただけで、まずいお乳の臭いを嗅ぎ分けて、泣いて含もうとしないのです。
表4に示されているように、お産後1週間はお粥と梅干し、そして1週間目にご飯を味噌汁と小魚となっています。少しずつカロリーを上げていくのです。ところが病院で出産になって以来、「たくさん食べないと母乳が出ないよ」「母体の回復をするためにたくさん食べなさい」と言われるようになって、今の産婦人科は、高脂肪、高蛋白、高カロリー食のフランス料理のフルコース等やケーキやコーヒー食べ放題にして妊婦さん達を集めるようになりました。その結果母乳分泌は低下し、乳がんが多くなったこととは無関係でしょうか?
さて、自然界の哺乳動物の子育てを見てみると、例えば、北極熊は約4〜5ヶ月間、冬眠し、穴ぐらの中で出産し、その間、母親は飲まず食わずで妊娠中に蓄えた皮下脂肪で母乳を分泌させて、母乳を飲ませつづけます。春になってようやく親子で穴ぐらから出てきて初めて母親は餌を探し、食べるのです。自然界のパンダも約1ヶ月、母親は飲まず食わずで母乳を飲ませています。色々な哺乳動物を調べてみると、ほとんど最初の頃は皮下脂肪で母乳が作られていることがわかりますし、人間も哺乳動物の一員として同じ仕組みになっているのです。ですから、出産後1週間はお粥と梅干しの低カロリーにして、飢餓状態になることによって皮下脂肪が母乳に分泌される仕組みになっているにもかかわらず、人間の浅はかさで高脂肪、高カロリー食にしたために、母乳分泌のメカニズムがおかしくなったり、「濃厚な乳汁は飲めない!」と赤ちゃんは泣き叫んでいるのです。
そして又、表4内容は非科学的だと非難されてきましたが、いま改めてよく見てみると、アレルギーの予防医学的に、とても良い言い伝えであると思われます。昔の人の長い経験の素晴らしい知恵だと感じさせられます。
私の所に来院されたら、まず痛くないマッサージで乳房の中にたまっている古いドロドロのお乳を全部排出しますので、お乳がマシュマロのようにふわふわに軟らかくなり、乳汁の分泌も増加しますし、乳頭も軟らかく、ビューと伸びてくるのでマッサージの直後に赤ちゃんに含ませると、今まであんなにいやがっていたお乳をグイッと飲みつき、グイグイうれしそうに、静かに飲みつづけるので、お母さん達はびっくりされて、とても喜ばれます。
そして次に食事の改善の指導を致します。食事指導は、以下の表5に示すないようです。
(表5:平田母乳育児相談室の食事ガイドライン) |
油や砂糖を使用せず、本物のだし(昆布、いりこ、鰹節、椎茸)と調味料は日本の大切な発酵食品である味噌、醤油、酢を使用し、
あとは塩で味付けすることの大切さを指導します。
ご飯と味噌汁、根菜類の煮付け、おひたし、酢の物、漬け物などを中心にした、日本人の体質に合った我々の先祖が食べてきたものに戻すことの、
大切さを話しますと、次第に乳質が良好となり、赤ちゃん達の湿疹もきれいになり、穏やかで、そして、やる気のある頭のよい子に育ちます。
断乳後のお母さん達は皆さん「育児が楽しい!!」と次々に赤ちゃんを生んで、またやってきます。
平均3人は生みますし、多い人で7人も生んでいますよ。そして何より嬉しいのが、思春期になって、改めてお礼に来院して下さることです。
本当にやる気のある、やさしい子に育ちましたと、医学部や法学部、医療関係の学校に進学している子も多くいます。