子育てが楽しくなる秘訣
(インタビュー形式)

*天津外国人コミュニティ生活情報媒体Tianjin Reportの取材内容より引用。


粉ミルクが普及して人間が人間のお乳を飲むという本来の現地が崩れている。そこに最近世間を騒がせる子供が引き起こす異常な事件の原因があるのではないか、そう考える母乳育児を提唱する平田喜代美さん。助産師として地元福岡ではおっぱい110番(平田母乳育児コンサルタント)を開業してから26年間、母乳ケアから育児まで悩みを抱える女性をトータルサポートしている。また普段の診察以外にも、海外に出かけて育児状況の視察に出かけられることも多い。そんな平田さんが5月末に自身の4回目となる中国訪問として天津に来られました。赤ちゃんが1歳なら、お母さんも1年生。躓くことがあっても大丈夫、親子のふれあいを大切に楽しく育児ができるお話をお伺いしました。

Q1.ユニークなネーミングのおっぱい110番ですが、診察に来られるお母さんの一番多い訴えは何ですか?

A1.一番多いのは、赤ちゃんがお乳を飲んでくれない、お乳が足りないと訴えるお母さんです。
しかし、診察してみると、足りないといってみえるお母さんの80%は実は足りているんです。
ただお乳が美味しくないから赤ちゃんがいろんな信号を送っているのです。
飲まないという反応はそのひとつです。診察では桶谷式と呼ばれる、痛くない必ずお乳の出るマッサージをして、お母さんの乳房の中に溜まった美味しくないお乳を出します。
ほとんどの患者さんは1回のマッサージで赤ちゃんが飲んでくれるようになります。

 

A2.お母さんの血液とも言える母乳は、食生活や生活習慣によって味が変わってきます。
桶谷式では、母乳の質を5段階に分けて紹介しています。
良質な母乳は透明で青みがかかり、大人が飲んでもおいしいものです。
それが悪質といわれるものになると、渋みがあったり、黄色くてどろっとしたものになります。
最近ではフランス料理などの西洋料理を産後に食べることのできる産婦人科が人気のようですが、母乳の質をよくするには、やはりあっさりと油抜きで、野菜や海藻が中心の食事に変える必要があります。


A3,母乳で育てることは、母と子の絆を築く上でとても大切です。
子どもを産んだからといってすぐにお母さんに母性が生まれるというわけではありません。
赤ちゃんにお乳を吸われることによって母性愛のホルモンが分泌され、じわりじわりと赤ちゃんに対する愛しさが芽生えてくるのです。
また赤ちゃんにとってもお母さんが大好きになるという相互作用があります。
母乳をあげることが一番赤ちゃんの信号をキャッチできやすいというのもあります。
また赤ちゃんにとっても母乳を飲むことと、哺乳ビンでミルクを吸うことには大変な違いがあります。哺乳ビンでは唇を動かすだけですが、母乳の場合は下で乳頭を巻き込んだり、頬とあごの筋肉を使いながら、下を蠕動運動させて母乳を飲みます。そのときに必要な力はミルクの60倍です。
そのため、母乳で育った子どもはあごの力が発達して、硬いものが大好きで、持久力の強い、最後の踏ん張りがきく子どもになるのです。

 

A4.他のところでよく伺うお母さんの悩みに、子どもが食べない、遊ばない、寝ませんなどを訴える人がいますが、私のところに通っているお母さんたちにはそんな悩みはほとんどありません。
断乳までに食事指導をはじめ、ありとあらゆる生活指導をきちんと守っているというのが大きな違いです。夜は3時間毎に起きて母乳をあげ、赤ちゃんと一緒に早起きして毎日散歩に出かけます。
好き勝手に自分の食べたいものを食べることも出来ません。夫にも家事の協力をしてもらいながら、赤ちゃんと一緒にお母さんも早く寝ます。それくらいの気合を入れて子育てをしているのです。
この強さがお母さんには必要です。でもそのおかげで断乳の後は育児が本当に楽しくなります。
お母さんがびっくりするぐらいよく食べて、夜は疲れて早く寝てくれます。外で遊びまわる元気な子ども、いわゆる子どもらしい子どもの姿ですね。
散歩などによく出かけ、出かけるときには家中の電気を消したり、お父さんがたばこを吸う時には、ささっと灰皿を持って来るなど、よく気がつくし、働き者で、何でもできるようになります。
ある育児休業中のお父さんが、私のもとにやって来て「先生、うちのお姉ちゃんは天才かもしれない!」とささやいたことがありました。
もちろんこのお父さんの娘さんだけではありません。私のもとに来る子どもたちはこのお父さんの言葉で言うなら、全員天才です!

 


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