■ 働くママにもできる母乳育児 ■

◆ 働く母親 ◆

 今は、以前と比較して結婚までの腰掛け的な就職から、仕事と育児を両立させて、生涯をかけた仕事をもつ人が増えてきました。

 昔の農家や商家の嫁は特に大変で、農家では赤ちゃんを田畑に連れて行き側に寝かせておき、朝から晩まで働き通しで、泣いた時におっぱいを与えるその時だけが母親の唯一の休憩時間でした。仕事が終わって自宅に帰れば、家族の食事、お風呂、洗濯など嫁の仕事は次から次へと夜中まで続いたものです。お産の時も、陣痛直前まで田畑で働き続け、お産後も一週間も寝ていられれば良いほうで、すぐ起きて働かなければならない状況でした。そのために、産後の過労で母親の死亡率や赤ちゃんの死亡率が高かったのです。

 しかし、労働基準法や保健行政が少しずつ確立していく中で、保健所や病院で産前産後の労働制限や栄養指導がなされるようになって、死亡率が急速に低くなり、労働状況も改善されました。

 それに比べ専業主婦は逆に過保護になり、高カロリー食を取り、運動不足から胎児は大きくなり過ぎるし母親は肥り過ぎ、難産が多くなってきました。そのため近頃では、妊婦水泳やヨガ、食事の制限の指導をしなければならなくなってきたのが現状です。

◆ 母乳育児母の会 ◆

 働いている母親は母乳育児はできないと最初から諦めているお母さんが多いように思います。しかし、1日のほとんどを保育園に預けなければならない私たち勤労母親こそ、せめて家庭にいる時だけでも母乳を与え続け、慈しみ、赤ちゃんに手をかけて育てることが大切ではないでしょうか。

 母乳で育てたくてもなかなか状況が許さず、泣く泣くミルクで育てなければならないお母さんたちがたくさんいますが、『働くママの母乳育児母の会』を作って社会に働きかけたママもいました。このお母さんは保育園が職場の近くにあったので昼休みに授乳することを希望しました。保育園側がなかなか許可してくれず、随分と苦労しましたが、根気よく保母さんと話し合ってようやく許可がおり、母乳を飲ませに通うことができました。しかし、ほとんどの保育園が、預かるからにはミルク授乳することを条件に哺乳瓶に慣れさせてくるようにと指導しています。

 母乳育児に理解のある保育園も少しずつ増えてきつつありますが、まだまだ全体からみると理解ある保育園は数少なく、もっと母乳育児の大切さを理解していただける保育園が増えることを心から望みます。しかし、働きながらの母乳育児は並大抵のことではありません。できれば育児休業が1〜3年は必要です。

 


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