第一のマイナス点は、新生児室が設置されたことです。
出産後、母と子は分離され、赤ちゃん達は新生児室で約3日間哺乳瓶によって人工ミルクを3〜4時間毎に与えられ、泣いても叫んでも時間がこなければ飲む事が出来ないようなシステムに管理されていったのです。
このことが、どれほどその後の母乳育児をだめにしていったかを説明しますと、まず第一に、母と子は生まれてくるまでの十月十日 というもの片時も離れることなく、胎児は子宮の中で母親のぬくもり、母親のにおい、母親の心臓の音に守られながら安心して成長するのです。 それが突然、出産と同時に、その母親のぬくもりやにおいや心臓の音のないところに切り離されたことの恐怖感がどれほどひどいトラウマを与えられたかを考えず、ただ光や音等にビクッとすることをモロー反射だと観察して眺めていただけであったということです。 この事が成長していく中で、どのような現象が起きてきたかは、次回詳しく述べます。 |
第二のマイナス点は、最初に飲みついたものになれてしまうという「インプリンティング」の弊害であります。
新生児室でゴムの乳首にインプリンティングされ、3日後に母親の乳首に吸い付かせようとしても、舌のぜん動運動が退化していて、なかなか本物の乳首に飲みつくことができなくなってしまっているのです。
これは約25年前、私がまだ国立病院に勤めていた頃に、心理学者の教授と共に、本物の母親の乳首を飲む時と人工乳首を飲む時の、児の舌の動きの違いを世界で初めて映像でとらえることに成功し、NHKテレビ等で紹介されたビデオがありますので実証することができます。
ゴムの乳首と本物の乳首を飲む時の舌の動きやエネルギーは、何十倍もの違いがあると言われています。その後のあごの発達や歯の強さは、当院を卒業した子供達が硬いものを平気で食べることや、踏ん張る力が育ち、我慢強い子供達に育っていること、脳にいくH2Oの量も何十倍もの違いで、頭の良い利発な子供が多いことからも実証できます。脳が燃えていると言われたりもします。又、60歳以上の方々の歯の強さや、根気強さからもうかがえます。
第三のマイナス点は、食事の内容です。
自然界の動物は出産直後しばらくの間は母親の皮下脂肪から母乳が作られて出てくるので 、飲まず食わずで赤ちゃんの側を片時も離れずにずっと母乳を飲ませ続けているのですが、人間は病院で出産するようになってから、栄養栄養といって高脂肪、高カロリー食になりました。その結果、濃厚な乳汁が細い腺にドロドロになって詰まり、ガチガチのお乳に腫れ上がったり、母親達はその痛さプラス痛い乳房マッサージをされ、悲鳴をあげて母乳育児をあきらめたり、赤ちゃんは嗅覚や味覚がとても優れているため、高脂肪、高カロリーでつくられたお乳は赤ちゃんにとってあまりにも濃厚すぎてまずくて飲めないと、近づけただけで泣き叫び、おっぱいをふくもうとしなかったり、ふくむがすぐに離して泣き叫んだり、寝たふりをしたり、乳首を引っ張ったり両手で押しのけたりして飲んでくれないのです。
その結果、病院がミルク会社と共に手を組んで、人工ミルクを勧めるために、安易な人工ミルクへと突き進んでいったのです。これは世の中が経済成長することと平行して意識的になされてきた事なのです。
お金や物を最優先する時代の流れの中で、母との子の絆がプッツリと切れ、人間が人間のお乳で育てなくなった事が、その後、どんなマイナス点が噴き出し、又、自然から何のしっぺ返しを受けるようになってきたかを、次回から話してみたいと思います。